ブログ - Words from Flying Books
今年で20回を迎える東急東横店の「渋谷大古本市」が始まりました!
古書サンエーでは、美術書・映画・歴史・文学・雑誌など出しています。(毎日追加あります)
ぜひこの機会に足をお運びください。
また、期間中、古書サンエー/Flying Booksも通常通り営業していますので、
お立ち寄りいただけましたら嬉しいです。
第20回「渋谷大古本市」
8/11(木)〜17(水) 東急東横店 西館8階 催事場
10:00-21:00 [14日(日)20:00まで、最終日17日(水)は17:00閉場]
http://www.tokyu-dept.co.jp/toyoko/event/event.html/
最近、Mark BorthwickやSusan Ciancioloなどアーティストの部屋の写真とインタヴューが載っている本を買いました。
Markの部屋は、NYブロンクスの荒廃した家を何年もかけて自分で改装し、たくさんの窓から光が降り注ぐ、とても気持ち良さそうなところ。Markの愛する古い家具や小物に囲まれて、庭と部屋とが一続きになっているような空間です。ここで写真を選んだり、音楽を創ったり、料理をしたり、友達や子どもと遊んだりするだろうなぁと思うと、本当に素敵な空間でうらやましい限りです。
Markの創る映像や音楽に触れると、自然のなかに身をゆだねて、たとえば川面にキラキラと反射する光や木漏れ日を身体で感じるという追体験をしているかのようですが、日常からすでに光があふれるところなのでした。
数年前、青山でMarkのライブを見に行ったとき、夕方、突然スコールのような雨が降り出し、それでもライブは続いていたのですが、あっという間に雨は止んで、空に二重の虹がかかりました。観ていた人たちは歓声を上げて写真を撮ったりしていたけれど、Markはうれしそうに気持ち良さそうに、いつもとあまり変わらず歌を歌っていました。自然のありようをいつも身近に受け止めているのかなと思いました。
ファッションの世界にいながら、きらびやかで移り変わりの激しいモードとは正反対の歩みを続けるMark Borthwick。1988年のデビュー以来「アンチモード」を掲げて、ストイックでありつつも手仕事のあたたかみを感じるデザインを発表していたマルタン・マルジェラ。そして、優れた審美眼で魅了するエレン・フライスのPurple Books。三者が有機的につながった1990年代終りの時代は、インディペンデント精神にあふれていて、既成概念やジャンルにとらわれず、自身の信念に沿って行動する勇気を与えてくれたと思います。それも、肩肘張らず、とても自然なやり方で。時代が変わっても、この清清しい感性は生き続けてほしいものです。
アントワープファッションの先駆けであるメゾン マルタン マルジェラの1998-99年秋冬のカタログとして刊行された写真集。帯にはマーク・ボズウィックの手書き文字。帯付できれいな状態のものは、入手困難。
『“2000-1” Maison Martin Margiela』
Mark Borthwick
SC 帯
Maison Martin Margiela 1998年
SOLD
Purple Booksから刊行されたマーク・ボズウィックの写真集。初期のPurpleはこんな小さな版型のものでした。(15×10.6cm)
『Are Plants People?』
Mark Borthwick
L’Esprit Frappeur, Purple Books 1999年
¥9,500
Uehara
10代から20代前半にかけて僕の全ての物事への判断は、見た 目が、「クール」か「クールじゃないか」の二進法で判断された。その他のことは、(意味とか、思想とか文脈など)そんに重要では無かった。むしろ思想や哲学も「クールか」か「クールじゃないか」が重要だったし、今でも根本的な判断の基準は変わらない。世の中が白か黒ではなく、カオスだということに気づきながらも、二進法の犬みたいに世界を判断していた。
「クール」だと思うものは、人によって違うので、なかなか理解し合うことが難しい。こないだ写真や美術にあまり詳しく無い知人にティルマンズとラリー・クラークの写真集を見せたら、「何がいいか分らないし、意味が分からない」「これって、カッコいいの?」と聞かれた。僕は唖然として開いた口がもっと大きく開いて、そいつを食べてしまいたかった。今後この友人と僕が会うことは無いだろう。(相手もそう思っているはず。)
今、日本の写真家でもっとも「クール」で最先端な作品を作っているのは、松江泰治だ。(彼を「クール」だと言うのには賛否両論あると思う。ちなみに僕は「クール」だと思っている。しかしバロウズやラリー・クラークのような「クール」とは少し違う)彼の中心を欠いた丁寧に地平線が排除された写真はアンビエント・ミュージックのサウンドのごとく、パブリックな場所や、モダンな建築物の中に設置されれば非常に相性が良い写真だし、カフェやレストランに飾っていても気にせず食事にありつけるぐらい気にならない。この点を指摘してミニマムな作品を毛嫌いする人は、噛み付いてくる。「インテリアなんじゃない?」とか、「家具のような作品」とか「存分に荒れ狂いたい魂が感じられない」とか。確かにこの指摘は、半分当たっているし、半分は誤解だと思う。ミニマムな作品に潜む魅力は、その厳粛に守られたルールによって際立つ。例に上げるのには違和感があるかもしれないが、拘束のドローイングで知られるマシュー・バーニーの作品には、限界が設定されているだけに、排除されたエネルギーが視覚化されてなくとも想像力を刺激してやまない。キリストだって、十字架を背負って歩いている苦役の姿が、二千年もの長い間、人々の支持を得てきたのだろうし。もっと簡単に言えば、コンサバティブな女性がなんで男にモテるかということにつきると思う。不感症に思える女ほど、想像力をかき立てるのだ。
松江泰治の写真の魅力は、彼の視点の距離の捉え方にあると確信する。彼の写真集に「CELL」というカラー写真で世界を俯瞰で撮影したものがある。最小単位(細胞)というタイトルが表すように極端にトリミングされて浮き上がってくる画像は、我々人類の生活が、距離を置いて見れば非常にコミカルなものであることに気づかしてくれるし、画像はまるで初期のファミコンみたいにカワイラしい。顕微鏡で見える微生物が人間にはちいさい生物に見えるかも知れないが、ちいさいのではなく、距離があると考えると少し世界が違って見えてくる。松江の写真がグーグルアースに酷似しているのは誰が見ても分ると思うし、それゆえに興味深い。最近の松江のほとんど動かない映像写真?は、来るべき写真表現の課題を浮き彫りにしている。今後モニターが開発され続ければ、紙のようなモニターが現れるのにそんなに時間はいらないはずなのは眼に見えているし、映像と写真の区別は恣意的な意志によって決定する自覚がよりいっそう重要である。
グーグルアースという人工の眼が世界を外側から覆い尽くし、地球全体を監視体制に置き、携帯電話にカメラ機能が内蔵されて、ビデオとカメラの境界線が曖昧になり、決定的瞬間が無くなっている現在。そもそも、撮影行為自体に意味があるのだろうか?いや、写真家という存在自体が必要なのだろうか?
かのリチャード・プリンスはすでに70年代後半に写真をもう一度写真に撮るという作品を一貫して発表し続けているし、音楽の世界ではサンプリングに、もはや違和感はないだろう。そう、全ての世界は写真で出来ているのだ。脇を閉めて前に出ろとかいうマチズモ全開なカメラマンや、フォトグラファーは、早々に歴史の舞台から退場していただきたい。アディオス !
『hysteric MATSUE Taiji』
松江泰治
初版 Hysteric Glamour 2001
¥52,500
林 裕司
「黄金の腕」や「悲しみよこんにちは」などの映画のオープニング・タイトル・デザインや企業ロゴなどで広く知られる、ニューヨークのグラフィックデザイナー・ソール・バス(1920年 - 1996年)の仕事の中で、世界中の絵本コレクターが探しているといわれる絵本があります。それが、『Henri’s walk to Paris』、ソール・バスがデザインした唯一の絵本と思われます。
主人公のHenriくんは、フランスのReboulに住んでいて、パリに行きたいと夢見ているのですが、本でパリのことを知れば知るほど、思いが募り、ある日思い立ってパリへと向かいます。
60sのポップな色づかいと大胆な構成で、憧れの地パリへ行くまでの道程に心躍ります。
木やバスはシンプルな形で描かれ、動物たちはなんとも愛嬌のある可愛らしい顔をしています。
デザインの美しさに見惚れて、見開きページごとにポスターにして飾りたいくらいです。
一見、色があふれているように見えますが、限られた色の反復で、画面構成も抑制が効いています。
たとえば、バスがたくさん密集しているシーンと、ぽつんと一つだけのシーン。テキストの配置も絵の一部のように見えます。あるいは、びっくりするほど余白が大きかったり、画面いっぱいに人物の大きな足が見えたりと、大胆なデザインは、主人公の気持ちと呼応して盛り上がっていきます。
Henriくんを見守る気持ちと、自分もHenriくんと一緒に冒険している気持ちとが混ざり、感情移入してしまいます。
しかし、最後までHenriくんの顔は出てこないのです。
見るたびに新鮮な感動のある素晴しい絵本です。
『Henri’s walk to Paris』
Saul Bass(デザイン) Leonore Klein(文)
Young Scott Books 1962年
SOLD
Uehara
明日15日に迫った「toto『○to○(わとわ)』 先行リリース・ライブ」は、ご好評につきチケット完売いたしました。当日券はご用意しておりませんので、何卒ご了承ください。
そして、以前からお知らせしていましたSUIKAのアナログがついに届きました!
A面は昨年11月にリリースしたSUIKA『スイカ夜話』から、SUIKAと降神による「タマキハル」を収録。「西遊記」をモチーフに5人のラッパー/詩人が15分にも及ぶ壮大なヒップホップ絵巻を紡ぎ上げてます。B面にはフロア向けとしても最適な「MUSIC JUNKIE」と「BEATMAKER」を収録。
Flying Booksでは50枚限りとなりますので、お早めにどうぞ!
SUIKA with 降神 「タマキハル」
¥1,680(税込)
VACANTの会場準備ができました!
みなさまのご来店、お待ちしております!
BOOK TO THE FUTURE
presented by NEWTRAL×NO IDEA
日時:4/30 12:00〜18:00
会場:VACANT1,2F
入場料:無料
http://www.n0idea.com/vacant/top.html
4月30日(土)に原宿のVACANTで「Book To The Future」というイベントに出店します。
時代を経ていまなお輝きを放つ古書を通じて、
未来の新しい文化を創っていくきっかけになればと思います。
Flying Booksでは、60年代を中心とした、写真集やデザイン、アートなどのビジュアルブックを出品する予定です。
BOOK TO THE FUTURE
presented by NEWTRAL×NO IDEA
日時:4/30 12:00〜18:00
会場:VACANT1,2F
入場料:無料
http://www.n0idea.com/vacant/top.html
原宿つながりで、もう一つお知らせです。
先月、United Arrows B&YのCat street店内に、”The Little Shop of Flowers”という素敵なお花屋さんがオープンしました。
オープンに際し、Flying Booksでは、花の写真集やエッセイなど、
植物のある空間を彩る本を入れさせていただきました。
ブルーのバラや、あまり見かけない種類の椿があったりして、
ここでは一味違ったブーケを作ってもらえます。
色とりどりのお花を手に、春の香りを感じていただけたらうれしいです。
http://www.guthrie.co.jp/6166
The Little Shop of Flowers
*B&Y Cat Street店
■住所:東京都渋谷区神宮前5-17-9 1F
■電話:03-5468-3916
昨日のイベントには多数の方にお集まりいただきありがとうございました!
圧倒的な深みと安定感のあるリーディングを披露してくれた主役の長沢さん、オープニングを飾ってくれた新納新之介君、内田ボブさん、気の入ったリーディングをみせてくれた小林大吾君、ナーガさんと息のぴったり合ったセッションをみせてくれたtoto、それぞれ詩集からではなかなか伝わりにくいライブならではの詩の世界を展開してくれました。
そして本日は2つの詩のお知らせです。
【お知らせその1:toto 1stソロアルバム(6/8発売)完成&先行通販予約スタート!】
先日PV“Windy”を先行公開し、昨晩もFlying Booksに登場したtoto(from SUIKA)のソロアルバム「○ to ○(わとわ)」が6月8日に全国発売となります。
普段はヒップホップバンドSUIKAの中の3MCの一人として活躍するtotoが、また別のポエトリーの世界を披露。
今回新設されたtotoのWEBサイトhttp://www.totonote.net/ で全曲の試聴が可能となってます!同サイトからDVD-Rの特典付き先行通信販売もスタートしましたので、是非チェックしてください。
【お知らせその2:5月15日先行先行リリースライブ】
リリースに先駆け、Flying Books恒例のCD付先行リリースライブを5月15日(日)に催します!(特典のDVD-Rも付きます!)
5/15(日)
「toto『○to○(わとわ)』 先行リリース・ライブ」
【ポエトリー・リーディング、ライブ】
OPEN:17:00 start:17:30
出演:toto、Tatsuya Yamada(MAS/Tyme.)
ゲスト:(未定)
会場:渋谷Flying Books
料金:3000円(CD+特典付) ご来場の方全員にCD『○to○(わとわ)』(特典「windy」DVD-R付)を差し上げます。
予約前売制:(限定40名様)
【ご予約方法】
予約はメール、電話(03-3461-1254)、及び店頭にて (営業時間12〜20時 日曜定休)
メール:info[a]flying-books.com ※[a]を@に換えて送信してください。
・チケットのご精算(3000円×1枚=3000円)は5月9日(月)までに店頭もし
くはお振込みでお願いいたします。
店頭の場合はお代と引き換えにチケットをお渡しします。
お振込みの場合の振込先:郵便振替 00130-1-400025 (株)古書サンエー
「toto『○to○(わとわ)』 先行リリース・ライブ」と明記下さい。
ご入金確認後、チケットを郵送させていただきます。
・ご予約の方は当日16:55前にお並び下さい。予約番号の順にご入場いただきます。
17:00以降にお越しの方は、予約番号順の方のご入場が済み次第、先着順での入場となります。
・会場の都合上、お席を約30名様とさせて頂き、それ以降の方はお立ち見となります。ご了承下さい。
長沢哲夫さんの詩集、『足がある』完成しました!
今作は半世紀に渡る詩作の集大成となる選詩集に新作を加えた92篇、
盟友ナナオサカキの捧げた表題の「足がある」、今だからこそ読まれるべき「原発の火はいらない」(震災よりずっと前に書かれた作品です)等含め、これまでの倍のボリュームとなりました。
また、日曜日の朗読会ですが、毎年一緒にツアーをしているシンガーの内田ボブさんもオーストラリアツアーから急遽駆けつけ、
諏訪瀬島に一時滞在していた若手詩人の新納新之介(にいろしんのすけ)さんがオープニングを盛り上げてくれることが決まりました!
一年に一度、東京でナーガさんの生のリーディングが聴けるチャンスです。
こんな時だからこそ、詩人の言葉 に耳を傾けてみませんか?
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4月24日(日)
「Beat Goes On vol.12〜長沢哲夫新作詩集『足がある』出版記念ポエトリー・リーディング」
【ポエトリー・リーディング、ライブ】
出演:長沢哲夫、小林大吾、toto(from SUIKA)
オープニングゲスト:内田ボブ、新納新之介
OPEN:17:00 start:17:30
会場:Flying Books
料金:¥2,000(新作詩集『足がある』付)
予約はメール、電話(03-3461-1254)、及び店頭にて (営業時間12〜20時 日曜定休)
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3年ぶりに九州・諏訪瀬島の詩人、ナーガこと長沢哲夫さんの新しい詩集『足がある』(4月25日発売 SPLASH WORDS刊 定価1000円)が完成しました!
今作は半世紀に渡る詩作の集大成となる選詩集に新作を加えた92篇、これまでの倍のボリュームとなりました。(表紙は写真家・西村多美子さんの取りおろし!)
出版を記念して、Flying Booksのレギュラー詩人、小林大吾と、6月にソロCDをリリース予定のtoto(from SUIKA)もお祝いに駆けつけます!
(毎年一緒にツアーをしているシンガーの内田ボブさんは現在オーストラリアツアー中なので、恐らく欠席の予定となります。)
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4月24日(日)
「Beat Goes On vol.12〜長沢哲夫新作詩集『足がある』出版記念ポエトリー・リーディング」
【ポエトリー・リーディング、ライブ】
出演:長沢哲夫、小林大吾、toto
OPEN:17:00 start:17:30
会場:Flying Books
料金:¥2,000(新作詩集『足がある』付)
予約はメール、電話(03-3461-1254)、及び店頭にて (営業時間12〜20時 日曜定休)
メール:info[a]flying-books.com ※[a]を@に換えて送信してください。
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