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ブログ - Words from Flying Books

渋谷大古本市、いよいよ明日から!

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 いよいよ明日8/9(木)から渋谷・東急東横店の古本市が始まります。

古書サンエーでは、映画や音楽、美術、文学、思想、歴史、サブカルなどの単行本をメインに出品しています。
今回は、これまで店頭で1000円以上していた本や雑誌が300円/500円でお求めいただけるセールコーナーを作りました!
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また、『平凡パンチ』や『写楽』などの雑誌も特価で出しています。
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ガラスケースには、恩地孝四郎や棟方志功、マッチラベルや納札、『アフィッシュ』も!
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会場の9F行エスカレーター寄り、「古書サンエー」ブースをチェックしてみてください。

期間:8/9(木)〜14(火)
時間:10-21時 (日曜日は20時、最終日は17時まで開催)
場所:東急百貨店東横店8F催物場

Uehara

2012 年 8 月 8 日 | comment
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8/26(日)詩と音楽の新しいイベントやります!

ウッドベース弾き語りラッパー・タカツキと、Flying Books店主山路の島旅から生まれた新企画。
出演者はFlying Booksの常連、諏訪之瀬島の漁師長にして詩人のナーガこと長沢哲夫さん。
HIPHOPバンドSUIKAから女性詩人のtoto。
グラスにはとれたてのスイカと赤ワイン、肴はセロニアス・モンクと新鮮な魚。
ジャズをこよなく愛する詩人とラッパーの島での夜の語らいから生まれる新しい言葉のセッション。
(当日限定で諏訪之瀬島旅の味「スイカ・サングリア」もご用意します!)

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8月26日(日)
「Flying Books presents
旅のことば・言葉のたび vol.1 -Stories in the night-」
【ポエトリー・リーディング、ライブ】
出演:長沢哲夫、タカツキ、toto
OPEN:17:00 start:17:30
会場:Flying Books (渋谷区道玄坂1-6-3 渋谷古書センター2F)
料金:¥2,000(1Drink付)
予約はメール、電話(03-3461-1254)、及び店頭にて(営業時間12〜20時 日曜定休)
メール:info[a]flying-books.com ※[a]を@に換えて送信してください。

2012 年 8 月 3 日 | comment
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『GENTRY』 洗練された大人の男性へ

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アメリカの男性ファッション・ライフスタイル誌『GENTRY』 。
ファッション、車、お酒、食、旅行、スポーツなど、洗練された男性に必要な情報が充実しています。

今回入荷したのはNo.17(1955-6年冬号)。
ファッションは、リゾートルックの提案です。
南へ、北へ、雪山へ。
赤いパンツ、ストライプのパンツのデザインが目を引きます。
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広告にもダンディーなおじさまがいっぱい!
スーツの着こなし方に時代を感じます。

特集「Scrap Book Of Holiday Fun」では、Holiday Spirit(休暇の心構え!)にはじまり、クリスマスカード(POP UPのカード付!)やゲーム、ターキーの切り分け方、クリスマスのディナーや新年の夕飯メニュー、ホリデイスペシャルドリンクの作り方などを紹介しています。
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1956年型の車(キャデラック、マークⅡ、Imperialなど)のデザインも洗練されていて素敵です。
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冬の休暇には、カリブ海の島々で過ごす旅を提案。
さらに、グァテマラやパナマなどオフビートな場所へ。

スポーツは、馬に乗ってバスケットボールをする「PATO」というアルゼンチンの国技を紹介。

アートは、ブランクーシの彫刻。

写真も文章も充実していて読み応えがあり、1950年代の古き良きアメリカを想像できます。
古い男性ファッション誌は流通量が少なく、ほとんど入手困難ですので
お探しの方はお早めに。

『GENTRY No.17 winter 1955-6』
綴じ穴あき(2箇所) 少書込(P.125)
Reporter Publications 1955
¥9,500

Uehara

2012 年 7 月 31 日 | comment
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『O RIO DE JANEIRO』をお手頃価格で

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Bruce Weberの『O RIO DE JANEIRO』が入りました。
熱気溢れるリオデジャネイロを舞台に若い男女、少年たち、格闘家ヒクソン・グレイシーとグレイシー・ファミリーなどをスタイリッシュに撮ったBruce Weberの代表作的写真集。

コンディションに少々難ありのため、大特価の18,000円で出しています!
Weberの初期の写真集は人気が非常に高いので、お早めに!

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『O RIO DE JANEIRO』
Bruce Weber(Bruce Weber)
角少水シミ 少折れ跡 小口に印あり 背スレ
SOLD

また、美本もございます。
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たいてい背が傷んでいるものが多いなかで、これはとても綺麗な状態です!
¥52,500
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Uehara

2012 年 7 月 21 日 | comment
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GOOD MUSICIANS MAKES GOOD BOOKS

NYCから来日中の友人、シンガー・ソングライターのジェシー・ハリスが、最新アルバム『サブ・ローサ』を持って来てくれました。(来日の度にFlying Booksに寄ってくれるBOOK LOVERでもあります。)
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かつて文学を志していたこともあるジェシーの詩は切ない恋の物語が多く、それらを盟友ノラ・ジョーンズはもちろん、メロディ・ガルド-ら豪華ゲストとともに甘い声で歌い上げた16曲。
潔いまでにシンプルで、かつテンポよく紡がれる楽曲群は、とても人間模様が複雑に絡み合う大都会NYで生まれ育ったシンガーとは思えないほど。
今回は自ら写真家、モデルなど幅広く活動するハンナ・コーエンによるフォトブック仕様。ジェシーがこよなく愛し、本作のレコーディングも行われたリオ・デ・ジャネイロのファジーで温かい空気に満ちた美しい写真がジェシーの詩に添えられています。
数量限定でFlying Books店頭で販売しております。(税込2625円)
(16日(月)には渋谷のduo MUSIC EXCHANGEでライブがあります。)
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また昨年、ジェシー自ら初出版したハンナのフォトZINE『Fotografias. Brasil』Hannah Cohen(ジェシーのサイン入。1800円)も残り僅かですが在庫がありますので、ご希望の方はお早めに!
 
http://www.jesseharrismusic.com/

JESSE HARRIS SUB ROSA TOUR in JAPAN 2012
6/30(土) 東京・上野水上音楽堂 (上野恩賜公園野外ステージ)
7/1(日) 横浜 Thumbs Up
7/4(水) 名古屋 CLUB QUATTRO
7/6(金) 京都 磔磔
7/7(土) 熊本 SECOND SIGHT
7/8(日) 福岡 ROOMS
7/9(月) 広島 CLUB QUATTRO
7/10(火) 梅田 CLUB QUATTRO
7/16(月・祝) 東京 duo MUSIC EXCHANGE

 
もう一人、ロサンゼルスからの常連さん、同じく本好きシンガーのプリシラ・アーンも7月18日(水)にビルボードライブ東京(翌19日はビルボードライブ大阪)で来日公演があります。先日発売されたばかりのカバー・アルバム『ナチュラル・カラーズ』を引っさげて。
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http://www.emimusic.jp/intl/priscilla/

Priscillaも自ら手作りのPOSTER-ZINEを前回持ち込んでくれてます。
(手作りなのにサイン入でたったの700円!)こちらも残りあと僅か!
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二人とも、それぞれの音楽性や詩の世界観、パーソナリティも含めて、音楽だけではなく、本作りでも抜群のセンスで表現しています。
カルチャーや、その内に込められたスピリットを耳から得るか、目から得るか。それだけの違いかも知れません。
もっともっと本と音楽の世界がクロスオーバーしていったら面白いことになるでしょうし、そんな作品を見て見たいと思います。

今年の夏の読書は良質な音楽を聴きながら楽しみたいと思います。

K.Yamaji

2012 年 7 月 6 日 | comment
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ヴィクター・モスコソのサイケデリックポスター入荷!

以前、ご好評をいただいた1960年代後半のサイケデリックロックポスターが再入荷しました。今回は人気のヴィクター・モスコソのオリジナル1stプリント(すべてベストコンディション!)で、初入荷のものが大半です。すべて一点限り、早い者勝ちです!
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以下、『Flying Buzz Vol.5』より
<BIG 5>
1960年代後半、ロック・サウンドの爆発的な流行と共に登場したサイケデリック・アートは、コンサート・ポスターやレコード・ジャケットを通して視覚的に若者の心を掴んでいった。現在ではかつての扇動的なサブカルチャーの枠を超え、ファイン・アートとしての地位を確立している。なかでも当時を代表する、ヴィクター・モスコソ、リック・グリフィン、スタンリー・マウス、アルトン・ケリー、ウェス・ウィルソンら五人のイラストレーターは<BIG 5>と称され絶大な人気を誇っている。

<Victor Moscoso/ヴィクター・モスコソ>1936-
グリフィンと同様アメリカのアンダーグラウンド・コミックスの草分け的ライター。(ヒッピー・ムーブメントと共に登場した「ZAP COMIX」等。ロバート・クラムもその代表的ライターの一人。) キャッチーなイメージデザインには定評があり、ジェリー・ガルシアのソロ・アルバム・ジャケットなどでも有名。1978年に東京国立近代美術館で催された「20世紀アメリカのポスター展」では、アンディ・ウォーホルやピーター・マックスの作品と共に展示された。

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Victor Moscoso “The Cahmbers”
Neon Rose #12 Steve Mann AT THE MATRIX
60年代サイケデリックアートの代表作 
1967 1st printing ¥65,000
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Victor Moscoso “FLOWERPOT” FAMILY DOG No.86-1
Blue Cheer, Lee Michaels, Clifton Chenier
60年代サイケデリックアートの代表作 
1967 1st printing ¥65,000
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Victor Moscoso “Junior Wells and His Chicago Blues Band”
Steve Mann AT THE MATRIX
「Moscoso」のクレジットが入ったロックポスターとしての第一作品
1966 1st printing ¥50,000
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Victor Moscoso “The Blushing Peony”
An extension of your skin the Blushing Peony
ヘイトアシュベリーにあった店の広告として制作された作品
1967 1st printing ¥25,000
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“HAIGHT-ASHBURY SPRING MOBILIZATION CLEAN -IN”
Victor Moscoso
Neon Rose により一度だけコンサートの際に印刷された
1967 1st printing ¥25,000
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Victor Moscoso “Otis Rush ”
Neon Rose #8
1967 1st printing ¥45,000
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Victor Moscoso “Rites of Spring. The Cloud”
Neon Rose #11 1967 1st printing ¥45,000

すべてB3サイズ。フレーム付。

K.Yamaji

2012 年 6 月 17 日 | comment
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おしゃれの教科書

先ごろPOPEYEがリニューアルしました。
おしゃれの教科書の元をたどれば、1975年の『Made in U.S.A. catalog』の衝撃が大きかったことと思います。今、何気なくはいているLevis501だって、日本で本格的に広まったのは、たかだか40年くらい前なのです。そのきっかけを作った『Made in U.S.A. catalog』、私はリアルタイムで見ることはできませんでしたが、今見ても全然古さを感じません。
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ジーンズはLevis501、足元はコンバースやワークブーツという永遠のアイテムはここから脈々と受け継がれていたのであり、自分の持ち物や、「いいもの」と言われているモノのうちアメリカ製がいかに多いか思い知らされます。
ここからさらにたどれば、『Sears』や『Whole Earth Catalog』などのアメリカのカタログ文化が今につながっています。

インターネットが普及する前までは、アメリカは国土が広いため、カタログ文化が発達していました。カタログには、その時代に生活する上で実用的であり優れたものを網羅されています。その1冊を見るだけで、時代がわかるといっても過言ではありません。

『Made in U.S.A. catalog ‘75』をめくってみると、『Sears』の日本での通販用広告にこんなことが書いてありました。

「縦28cm 横20.5cm 厚さ約4cm。頁数1390。シアーズカタログは若い生活者の生活マニュアルである。
シアーズが生まれたのは1886年。人々が辺境を求め西へ西へと進んでいった開拓時代すでにシアーズのカタログはテキサスの片田舎でも多くの家庭の暖炉の傍に置かれていた。開拓という日々のいとなみのなかで人々はカタログを利用した。
その後時代とともに改良されてきたシアーズの商品。あるものはネジ一つから取り換えられあるものはより機能的な形となりさらに新しい多くの商品が加わった。
きょう日本で。たとえば自転車の載っている頁をひらいてみる。キャプションのひとつにはコースターブレーキ(ペダルの逆踏みで制動する方法)と説明されている。これは一例である。すなわちあるひとつの商品がもっている本質的な意味においてはアメリカも日本も差はない。けれど生活の道具としてうまくきのうさせるその方法においてデザインがつくりが違っている。
シアーズのカタログに載った70,000点の商品。そのひとつ一つの違いに気づきはじめたとき若い生活者の日常はにわかにあたらしい方向に歩きはじめる。
なぜならモノに共鳴し選択するということはそれをつくった人々の文化をも共有しようとする姿勢だから。シアーズでいえばアメリカという国の合理的な生活のしかたあるいはその匂いを日々のなかで体験するということだから。」

1975年の日本でのシアーズの紹介を見ると、アメリカがまだ遠い憧れの国で、その製品の良さ、生活のしかたを学びとろうとする姿勢にグッときます。
今は、いいと思ったものをすぐに入手することができてしまいますので、こういった生活全般を見渡せるカタログが作られることはもうこの先ないでしょう。

そんなシアーズカタログが3冊入荷しました。
その時代の服の形や生地のパターンなど、デザイン資料として、とても充実しています。

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1937年春夏号 。戦前のシアーズカタログはとても珍しいです。
全体的にセピア色の写真が多いのですが、中には女性服の生地サンプルが貼り込んであるページもあります。(下右ページ 水色の花柄の生地)

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Sears 1937年春夏号
天少水シミ
¥15,000

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クリスマスの飾りや、ギフト商品、パーティー用の服など、全体的にウキウキした感じの号です。子供のドレスもかわいい。それに、赤いセーター、赤いジャケット、赤のチェックのスカート、赤いローブ……赤い服がたくさん載っています。でも、クリスマスだからって赤い服着るでしょうか?
Sears 1959年クリスマス号
¥9,500

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ぬいぐるみやバービー、GI Joeのフィギュアやビリヤード台まで、子供へのプレゼントが充実しています。
Sears 1964年クリスマス号
¥9,500

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こちらが元祖通販カタログ「Montgomery Ward 」。
シアーズに先駆けて、1872年に発行したのが始まりでした。
特に洋服が充実しています。
Montgomery Ward 1949-1950
¥12,500

Uehara

2012 年 6 月 2 日 | comment
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TATOO YOU

 

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 『刺繍の男(Tatoo You)』、ローリング・ストーンズの1981年にリリースされたアルバムのタトゥー入りのミック・ジャガーのジャケットは、ストーンズの中では『山羊の頭のスープ』と共に、僕のお気に入りのデザインである。アートワーク以外でも、中身も良い、特に4曲目のキース・リチャーズがボーカルのLittle T&Aは最高にカッコいい。噂に聞くところでは、LIVEでは人気がないのか、トイレタイムだそうだ。(アメリカでは?)なんと、このアルバムにはジャズ界の巨人ソニー・ロリンズが参加しているという、愛すべきアルバムだ。今回紹介する一冊は、ジャケットカバー顔負けのタトゥーをした奴らがぞろぞろ出てくる。テリー・リチャードソン、リチャード・プリンス、そしてジェイムズ・フレイ。現代のアメリカン・カルチャーを代表する3人が顔を並べたユニークな一冊がここにある。しかも、3人のサインが三角形を作るレザボア・ドックス状態という代物である。
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テリー・リチャードソンと、リチャード・プリンスはよく知っているが、ジェイムズ・フレイは名前と、回想録なのか自伝的小説なのかで、物議を呼んだ作家程度の認識だったので、今回取り上げるにあたって彼のバッシングを受けた処女作『こなごなに壊れて(A Million Little Pieces)』購入し、一気に読んだ。「飛行機の後部座席に寝かされていて、自分の顔にはえぐれたような傷があり、前歯もなければ鼻も折れていた…。」こんなショッキングなシーンでいきなり始まる物語は、事実をもとにしているだけあって心に響く。大筋はジャンキー達が治療施設
で悪戦苦闘し、家族や友人、恋人の愛に目覚めるといった自己回想物の作品で、全編に老子の教えがバック・ミュージックとして聞こえる秀作だ。バロウズ以来の衝撃という触れ込みらしいが、そうは思わない。バロウズの『ジャンキー』に出てくる人物は、なんにも悪いと思ってないし、愛なんかにも目覚めない。絶対的な快感に支配されている『ジャンキー』の文体は乾いていてクールだ。やっぱり、格が違うのだろう。 

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この本に収録されている、ジェイムズ・フレイの小説のために撮影したテリー・リチャードソンの写真は、小説にも出てきそうな、どうしようもない奴らばっかりだ。スキンヘッドでタトゥー、今までマトモな職に就いたことなんか一度もないようデカイ銃を持つギャングや、薬のためなら体を即売しそうなセクシーな子持ちの女だ。そして、これに乗ってクラックや、スピードを調達(レイズ)しに行きたくなるゴテゴテしたアメ車だ。そもそも、撮影している本人が小説の登場人物なみにキャラクターが良いので、かなりイメージをシンクロ出来るのは嬉しいし、笑える。フレイの小説に出てくる、依存症者達が自分の過去を笑いのネタにして語り合う良い場面があるが、こういう話は笑劇で迎えてやるしかない。そもそも、ラジオや新聞の悩み相談やなんかは笑って聞くものなのだから。                     terry04

この本の中で、異彩を放っている写真がロサンゼルスの高速道路をモノクロームで上空から撮影した写真だ。テリーには珍しくクールな視線で淡々と撮影している感じがとてもいい。細胞分裂をし続け、増殖していく建物やハイウェイ。そのなかで蠢くウィルスのような人間達。この写真を見ていると地球からすれば、我々人類がいかにウィルスなみにいやらしく過剰に増殖し、好き勝手にやっているのが分る。それは、がん細胞と同じくストッパーが外れた暴走進行形のジャンキーみたいだ。DNA螺旋構造を擬態したハイウェイ場で起こっているいることなんか、観る位置を変えれば、良くも悪くも観察者の見方一つで変わる。地上での戯れ言は、マクロで観ればカワイイものだし、ミクロで味わえば、深刻だ。
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テリー・リチャードソン、リチャード・プリンス、ジェイムズ・フレイ、この中でなんといってもミステリアスで魅力的なのがリチャード・プリンスだろう。かつて美術評論家S.Nに、オカマのサンプリングと言わしめたこの特性の無い男の、アメリカの象徴的な表層だけをかすめ取る作品は、アメリカの大衆の欲望そのままに見える。したたかなその手口は、匿名の天才ハッカーのようだ。僕は、いまだにこの男の顔を覚えられない。しかも、この本では表紙(裏)だけという潔さ。この3人のアメリカ人が世界中のドロップ・アウトしたキッズや、セレブの財布の紐を緩めさせ、欲望を増殖させるのは愉快でたまらない。前記したキースのLlittle T&Aの”T”は”Tits”でパイオツ、”A”は”Ass”でケツだ。増殖の原因は確実にこれだ。

『Wives,Wheels ,Weapons』James Frey Terry Rchardson Richad Prince
HC 3者サイン入 JMc & Ghb Editions 2008
¥45.000

ハヤシユウジ

2012 年 5 月 12 日 | comment
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孤独を愛する人

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ギリヤーク尼ケ崎は、1930年北海道函館生まれ、邦正美に師事して現代舞踊を学び、1957年にデビューし、1968年から街頭での大道芸に転向。現在も公演を続けています。
本書は、各地で公演したときの記録がギリヤーク尼ケ崎自身の言葉で綴られており、
さまざまな場所で踊った写真が多数収められています。

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(渋谷ハチ公前)

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1968年当時の渋谷や上野の様子が生々しく浮かび上がってきます。

駅前は、広場があるといっても、交番がすぐ近くにあり、警官が見張っているだけでなく、ヤクザの人がいたり、新宿にはフーテン族と呼ばれる人たちもいたり、政党の演説が入ったりもして、最後まで踊れるか不安と緊張のなかで彼はドーランを塗り始めます。

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1957年にデビューしたものの、舞踊を教えながら食べていくという目論見が外れ、1968年当時、彼はもう38歳になっていました。
一日一日追いつめられていく中で、舞踊で生計を立てていける方法はないものかと毎日考えていたときに、子供の頃に見た、街角で芸を演じながら細工飴を売っていた親子を思い出し、街頭で踊ってみようと思い至ったそうです。

「街頭で踊るという考えが浮かんできたのは、必ずしも生活のためばかりではなかった。私自身の内面生活の危機感があった。私が秋田の大館で過ごした数年間は、自分というものをじっくり見つめることができた。また、周囲の自然の景色を眺めながら、いつも新鮮な気持ちでいられた。しかし、再度上京して夜警をしているうちに肉体的に疲れて、退職する頃はいつの間にか日々の生活に無感動になっていった。その前、掃除夫をしていた頃は、まだ心にゆとりがあった。都会の片隅を流れる小川の水音にじっと耳を澄ませば、我を忘れて大河の流れを思い、自然の懐に飛び込むように神韻縹渺とした仙境に遊ぶことができた。しかし、今は薄汚いドブ川でしかない。雲や風を友とし、道端の小さな小石の存在にも感動した私の心は、いったい何処へ行ってしまったのだろうか。そして孤独は私から逃げていった。このことは、私にとって何よりも恐ろしいことだ。」

「日が経ったが、街頭で踊ろうとする決心がつきかねていた。しかし、ある夜寝床の中でまどろみながら、死んだ肉親のことを思い出した。“私もいつかは死ぬんだなあ、それならば人間らしい本当の生き方をしてみたい。大道芸人でよいではないか。このごみごみした東京の生活から、本当の人間と人間の心のふれあいみたいなものが、街頭で踊ることによって生れてくるかもしれない。”」

「“そうだ、人がどんな目で見ようと、街頭で踊って喜捨を貰い、なんとか自活して母を楽にさせたい。私の全存在を賭けて、自分の本当の生きざまを踊るんだ。街頭で踊ることによって、自分を捨てていこう。そして生身の己の姿をじっくりと見つめていくことによって、少年の頃から心に抱いていた、遠い遠い昔から脈々と生き続けている宇宙の命にいつの日か会えるかも知れない。”そう思ったとき、私は再び生きていこうとする本当の勇気が湧いてきた。」

ギリヤーク尼ケ崎の文章は、実に鮮明で胸に迫ってきます。
純粋で繊細な精神を持ち、自身に忠実に生きなければ、魂が殺されてしまうような人だと思いました。

彼の繊細な感性はどういうところから生まれてくるのでしょうか。
前出の、
「そして孤独は私から逃げていった。このことは、私にとって何よりも恐ろしいことだ。」
という文章が印象的でした。

「秋田の大館で過ごした数年間」にさかのぼってみると、彼は1959年〜60年の頃に、大館の神社の境内で舞踊の練習をしていました。
裸同然の格好でいるために様々な事件の疑いをかけられたりしましたが、それでも、彼は全身に気力が漲っていて、このように綴っています。

「私の心境は爽やかだった。名もない野辺の雑草や小さな石、小川の流れ、その他諸々の自然の景色の中に美を感じて、終日見とれていた。また練習の帰り道、道端の地蔵さまに深い愛情を覚えて佇んでいたこともあった。それから、物が実によく見えた。野に咲く一輪の花に心ひかれてしばらく見とれていると、その花に私自身の心を感じた。また風になびく柳を見つめているうちに、いつの間にか私の体も軽くなっていった。そして、柳の糸と一体になって踊り狂い、私の心は風と共に平野を彷徨い続けた。」

踊りを通して人間的なふれあいを感じるということが、とても胸に迫ってくるのは、
彼にとって踊りが人生そのものであるということ、
そして、用意された舞台があるのとは違って、街頭で踊り喜捨だけで生活をするということが根底にあります。

見る者は、まさに彼の生きざまを目撃するのです。

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ギリヤーク尼ケ崎の言葉を通して、「生きるとは何か」ということを突きつけられます。
深い悲哀があるからこそ、小さな喜びがいかに尊く美しいものか、深く考えさせられます。

現在も街頭公演が行われているので、ぜひ一度生で体験したいものです。

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『鬼の踊り―大道芸人の記録』
ギリヤーク尼ケ崎
初版 ブロンズ社 1980年
SOLD

Uehara

2012 年 5 月 5 日 | comment
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革命は静かにはじまる

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1945年イギリス生れのアーティスト・活動家のGee Vaucherは、70s〜80sに活躍したアナーキーなパンクバンド「CRASS」のメンバーとしてアートワークを手掛け、作品を通してメッセージを発信してきました。

アナーキズムやパンクと言うと、つい過激なイメージを思い浮かべてしまいますが、Gee Vaucherの作品集を見ると、とてもラディカルに物事をとらえていて、メディアが伝える情報の氾濫をよく見直し、社会の真実を見出そうとしているのがわかります。

終戦直後の混乱の最中に生まれ、表向きには社会は平和に向かったように見えても、核の時代の幕開けでもありました。

Geeは、家は貧しくても、想像力豊かで理解のある両親や隣人に囲まれて過ごしました。子供の頃に、父親がよく子供たちや近所の人におもしろい話を聞かせてくれたそうで、なかでもこんなエピソードがありました。

戦時中に近所に爆弾が落ちて、父親の飼っていたニワトリに爆弾の破片が当たり、父親はあわててニワトリの首をつかんで隣の家の人に叫びました。

父親:「針と脱脂綿を持ってきてくれ!」

隣人:「何色の脱脂綿がいいの?」

Geeにはこのエピソードがなぜかいつも頭の片隅にあり、不条理のなかで希望や笑いを持ち続けることがGeeの人間的な基盤を作ったようです。

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グヮッシュ、コラージュ、パステルなどで構成された作品には、恐怖や痛みの描写が多く見られます。コラージュによってゆがめられた無気味な顔、仲良さそうな家族のイメージには狂気が感じられます。社会に溢れるイメージをゆがめることで、見慣れた風景に別の視点からリアリティを与えています。Geeは、私たちが「現実」と思い込んでいることに、別の可能性があることを知らせようと、私たちを揺さぶり覚醒させようとします。自分自身の眼で物事を見ることができれば、暗鬱とした社会に血路が開かれると信じて。作品のテーマのおぞましさと、表現の美しさ、そしてその根幹を支える楽観性とのギャップにこの作家の人間の深さを感じられて興味深いです。

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Gee Vaucherの第一作品集となる『Crass Art and Other Pre Post-Modernist Monsters』には、1962年から1997年までの、雑誌や新聞で掲載した作品、「CRASS」のアルバムジャケット、小部数で手渡しで配布したポスターなどが、Geeの文章とともに年代順に収められています。zine cultureの先駆けでもあります。真に社会を見つめて闘ってきたアーティストの作品に触れてください。

『Crass Art and Other Pre Post-Modernist Monsters』
Gee Vaucher
SC 地少汚れ AK Press/Exitstencil Press 1999
¥15,000  SOLD

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こちらはGee Vaucherの第二作品集。
動物をテーマに、人間の顔をコラージュした作品を40数点収録。
” All humans are animal, but some animals are more human than others.”という序文ではじまるユーモラスでシニカルな作品集。何かもの言いたげな奇妙な動物たちが愛らしく見えてきます。

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『Animal Rites a pictorial study of relationships』
Gee Vaucher
SC Exitstencil Press
¥7,500

Uehara

2012 年 4 月 27 日 | comment
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