「Afterimage—New York」展byたかはしじゅんいち
普段、モデルの可能性を最大限に引き出すことを生業とするファッション・フォトグラファーが、初めて曝け出した自らの内面性とは?
東京とニューヨーク。ファッションや舞台の最前線で活躍するたかはしさんの作品は、舞台やコンタクトレンズ、ファッションブランドなどの広告写真など、街中や電車内で普段から何気なく、そして誰もが一度ならず目にしていますが、今回は一転して、長年住み親しんだ街をモノクロームの世界に封じ込めたライフーク的シリーズをご紹介します。
朽ちかけた廃墟の暗澹とした闇に浮かび上がる、屑鉄、レンガや廃材。なぜか目を奪われてしまうのは、「肌の質感」を大切にしているファッション・フォトグラファーでもあるたかはしさんならではの魔法かもしれません。
何者かが残したグラフィティとすら言えないような落書きや、墓地や、対岸の廃墟越しに眺める蜃気楼のような淡い乳白色の摩天楼は、裸一貫でニューヨークに渡ったアウトサイダーだからこそ持てる、都市への慈愛に満ちたやさしい視線とも言えるでしょう。
たかはしさんのホームページで観られる、ロバート・デ・ニーロやジェニファー・ロペスといった華やかなセレブリティのポートレートとぜひ対比して観てみてください。たかはしじゅんいちという写真家の人物像がより浮き出てくることと思います。
2009年9月 Flying Books 山路和広
2009/9/7-9/20 Flying Books Wall Gallery 「Afterimage—New York」展byたかはしじゅんいち出展作品
ゼラチンシルバープリント 各Edition30・サイン入 16×20inch
*作品の価格、購入方法は電話またメールにてお問い合わせ下さい。
たかはし じゅんいち Junichi Takahashi
新潟県新潟市出身。写真家・立木義浩に師事。1988年、フリーランスの写真家として独立、翌年よりNew Yorkに拠点を置く。2004年からは東京にも拠点を置き、国内活動を積極的に展開。以来NY&東京の2重(住?)生活をしている。今年は活動20周年、来年は渡米20周年を迎える。
ポートレイトを中心に、広告、音楽、ビューティー、雑誌等において幅広く活動。1995年からは世界的エンターテインメント集団「STOMP」のオフィシャルフォトグラファーを務め、Jennifer Lopez、Maxwell、Baby Face、Marc Anthonyなどミュージシャン達のCDジャケットや雑誌掲載写真を撮り下ろす。2002年2月には、坂本龍一氏によるプロジェクト「Elephantism」撮影のためにケニアへ。最近では、宮本亜門氏演出の舞台「トゥーランドット」のポスタービジュアルほか、Johnson& Johnson「ワンデーアキュビュー」等の広告写真を手がける。
1995年からのライフワークとして、NYの伝説的ホテルChelsea hotelの住人達をはじめ、アーティスト・ポートレートの撮影は現在も続行中。撮影旅行は、ペルー、ネパール、南アフリカ、アイルランド、ケニヤ、英国、トルコ、ギリシャ、 etc. “日本在住写真家”として、“NY在住フォトグラファー”として、国境を越えた活動を展開、常に世界を移動し続けている。
オフィシャルホームページ www.junichitakahashi.com