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ブログ - Words from Flying Books

隣の芝生は青かったか?

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「黄金の腕」や「悲しみよこんにちは」などの映画のオープニング・タイトル・デザインや企業ロゴなどで広く知られる、ニューヨークのグラフィックデザイナー・ソール・バス(1920年 - 1996年)の仕事の中で、世界中の絵本コレクターが探しているといわれる絵本があります。それが、『Henri’s walk to Paris』、ソール・バスがデザインした唯一の絵本と思われます。henriswalk1

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主人公のHenriくんは、フランスのReboulに住んでいて、パリに行きたいと夢見ているのですが、本でパリのことを知れば知るほど、思いが募り、ある日思い立ってパリへと向かいます。
60sのポップな色づかいと大胆な構成で、憧れの地パリへ行くまでの道程に心躍ります。
木やバスはシンプルな形で描かれ、動物たちはなんとも愛嬌のある可愛らしい顔をしています。
デザインの美しさに見惚れて、見開きページごとにポスターにして飾りたいくらいです。
一見、色があふれているように見えますが、限られた色の反復で、画面構成も抑制が効いています。
たとえば、バスがたくさん密集しているシーンと、ぽつんと一つだけのシーン。テキストの配置も絵の一部のように見えます。あるいは、びっくりするほど余白が大きかったり、画面いっぱいに人物の大きな足が見えたりと、大胆なデザインは、主人公の気持ちと呼応して盛り上がっていきます。
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Henriくんを見守る気持ちと、自分もHenriくんと一緒に冒険している気持ちとが混ざり、感情移入してしまいます。
しかし、最後までHenriくんの顔は出てこないのです。

見るたびに新鮮な感動のある素晴しい絵本です。

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『Henri’s walk to Paris』
Saul Bass(デザイン) Leonore Klein(文)
Young Scott Books 1962年
SOLD

Uehara

2011 年 6 月 4 日 | comment
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