仙厓さんこんにちは。
急に春めいてうららかな今日この頃。生きるとはなんぞやなどと云う考えは到底浮かんでくるはずもありません。しかしながら人間いずれは死が訪れるわけですし、生きてたら生きてたで厄介なこともあまためぐってくるわけで、いつなんどき「うわーなんか苦しいよー。生きるってなんなのおお!」といった事態になるやも知れません
人間はうっかりするとそうなりがち。そこをなんとかしてやってくための伝統的な技法のひとつが仏教であり、禅なのですが、もはや生活のすぐそばにあってじぶんの心身に染みているという実感は少ない人が多いのではないでしょうか。
そうなるとわれわれにとっての禅・仏教は、言語や文化の異なる人々にとってのそれと、さほどちがいはないのかも知れません。
江戸時代の禅僧、仙厓の書画の個々に解説のつけられたこの本はアメリカで禅を広めた鈴木大拙がその晩年の仕事として英語で著し、海外で出版されたものの日本語訳版と云う逆輸入のような成り立ちをしています
書や賛の文字を読み取ることもあやしく、古文や漢文の教養もなくて意味をとることのおぼつかないわれわれには、大拙が英訳した仙厓の詩句、および解説の日本語訳というのは楽して禅画を知り、楽しむことができるたいへん魅力的なものとなっています。
仙厓の画とことばはこれはもう、じっさい目にしていただくしかないでしょう。ヘタウマみたいですけど、この人ものすごくうまいです(あたりまえですが)。なにやら見る者のどこかにひびくものがあります。同時代の人々もやはり同じで、仙厓は画いてくれ、画いてくれ、さんざん言われたそうです。
この動物をちょっと見てください。ちなみに左側には「きゃんきゃん」と書いてあります。解説を読むとまたおもしろいですよ。
仙厓の書画
鈴木大拙 月村麗子訳
初版 カバー 帯
岩波書店 平16
Tanaka