幻の写真集『しきしま』展
噂だけをたよりに長年探し求めた幻の写真集『しきしま』。初めて手にした時に沸き起こった、毎日目の前を通り過ぎて行く大量の本の中で忘れかけていた感覚。
それはまさに一目惚れ。
線路や丘の向こうに続く道、果てしない旅の予感に心熱くさせられ、旅先ですれ違うOLのスーツ姿や、祭の子供たちに和まされる。雑誌『プロヴォーグ』に参加した森山大道、中平卓馬らに通じる粗く暗いタッチの迫力に加えられた西村さんならではのやさしい眼差し。
序文がすべてを物語っている。
「今まで、日本のどこか、気の向くままに足を向けて写真を撮って来た。(中略)目の前に広がる風景よりも、ちょっとした光線の具合やどこかからの花の匂いや、空気みたいなものに、すごくひかれた。」
今回ご縁会って西村多美子さんとお会いすることができ、展示をさせていただくことになりました。1973年の処女作『しきしま』から選りすぐった作品を風景中心のPART1(8/10〜22)、人物中心のPART2(8/24〜9/5)の2回に分けてご紹介します。ひとりでも多くの方に西村さんの作品を知っていただけると幸いです。
2009年8月 Flying Books 山路和広
(以下、展示作品 〜8/22 ※最上段2作品は『森山大道ヌード写真集 蜉蝣』にも収録されている作品)
作品の価格、購入方法は電話またメールにてお問い合わせ下さい。