あと2日!猥雑なエネルギーを放つ紙と本の祭典
テーブル一台程度のブースが何十も連なる会場、通路ですれ違うのも難しいくらいに群がる人・人・人。
目当ては「ZINE」(ジン)と呼ばれる手作りの冊子を中心としたアートブック。
表参道と裏原宿の二会場に分かれて開催されている「ZINE’S MATE, The Tokyo Art Book Fair, 2009」。大勢の若者が自分のテイスト=感性にあった紙とインクのアート作品を見つけ出そうと、人を掻き分け、真剣なまなざしで内容もカタチも々な「ZINE」を手に取っていた。
その多くはわら半紙やカラー紙にコピー機で印刷、ホチキスで製本され、手作りで少部数発行される「ZINE」は、アメリカでは若者を中心に一定のポジションを築いている表現手段だが、日本ではまだ一部にしか知られていない。荒くざらついた写真やイラストが発する未成熟だがギラギラしたヴァイヴが何よりの魅力だ。作りが限りなくチープなだけに、中途半端なアイデアでは資源ゴミと紙一重に。かと言って、クオリティの高いテクニックを表現するにはまったく適さない媒体だ。アーティストの着眼点と表現エネルギーが原始的な素材を魅力あふれるメディアに変えてしまう。
天才写真家アラーキーもデビュー前のサラリーマン時代、会社のコピー機で100部にも満たない「ゼロックス写真集」を作り、表現の原点とした。今では100万円以上で取引される幻の「ZINE」だ。
歴史を作ってきた雑誌たちですら次々と休刊に追い込まれる出版不況がウソのように熱い視線で蒸し返す会場内は、本や雑誌といった「紙媒体」がまだまだ人の心を揺さぶることのできるメディアだということを証明してくれている。
「ZINE’S MATE, The Tokyo Art Book Fair, 2009」
開催日:2009年7月10日 - 12日
会場1:GYRE 東京都渋谷区神宮前5-10-1 3F (11:00-20:00、12日は18:00まで)
会場2:VACANT 東京都渋谷区神宮前3-20-13 (13:00-20:00、12日は18:00まで)
表参道沿いのGYREの3F、MOMAショップの横ではGALLERY360°や、赤々舎らギャラリーや出版社が、裏原宿のVacantでは主にインディペンデントの作家や出版レーベルが中心。